探偵業をやっているとさまざまな不倫現場に遭遇することがあるようです。
今回は、数多くの不倫調査を手がけて来られたベテラン探偵で探偵事務所SATの代表でもある野村さんに、自動車学校の教官と生徒間での不倫ケースについてお話を伺いました。
※守秘義務遵守の関係上、記事中の個人名や地名、組織名などには仮名や仮称を使わせていただいています。また、ストーリーにもフェイクを入れています。
イケメン教官の日常行動に変化が・・
カズコさん(仮名・30代前半)は、京都府内の某自動車学校で教官として勤務しているマサシさん(仮名・30代半ば)の奥様です。
8年ほど前に、学生時代からのお付き合いを実らせて結婚し、2人の子供にも恵まれて幸せな毎日を送っていました。
マサシさんはかなりのイケメンで、学生時代もかなりもてていたらしいのですが、カズコさん一筋でしたので、カズコさんもそんなマサシさんを信頼していて、絵にかいたような幸せな家庭を築いていたそうです。
マサシさんの仕事柄、自動車学校の若い女性の生徒にも人気があることや、若い女性の生徒と同じ車の中に二人きりになることがあることも分かっていました。
バレンタインの時などは、「生徒からチョコをもらっちゃった」と言っていたので、カズコさんがホワイトデーのお返しのクッキーを買って「ちゃんとお返ししなきゃダメよ」と言っていたこともあったそうです。
あるとき、カズコさんはマサシさんの挙動がおかしいことに気が付きました。
マサシさんは明るい社交的な性格で、以前はその日に指導した生徒のことをいろいろ詳しく家でも話をしていて、どういう生徒だったとか、どんなミスをしたとか、面白おかしく話題にしていたのに、あるころから自動車学校でのことをあまり話さなくなりました。
全く話さないわけではなく、話の内容に具体性がなくなったのです。
以前だったら、今日の生徒はどこどこの学生でこんな髪型でこういう話をしたというような話をしてくれたのに、最近はそこまで詳しく話してくれません。
毎日毎日多くの生徒さんを乗せて指導をするので、事細かに話をするのに疲れたんだろうなと軽く思っていました。
また、以前よりも帰りが遅くなることが増えてきて、他の教員が辞めたので忙しくなって残業が増えたと言っていました。
女性は敏感ですからカズコさんは何か変だ、何かを隠していると感じたようですが、不倫だとは思わなかったそうです。
自動車学校内の人間関係とか、上司から何かを言われたとか、あるいはそれ以外で何か問題を抱えて悩んでいるのではないかと思ったそうです。
尾行調査をすることに・・
カズコさんは、しばらくすればまた元のような夫に戻ってくれるだろうと思っていらっしゃいましたが、いつまでたっても何かを隠しているような様子が変わらないため、私の探偵事務所に相談に来られました。
やはり不倫をしているとは全く疑っていなかったようで、何か仕事関係かその他の交友関係で悩んでいるのではないか、何か妻の自分にも話せないような問題を抱え込んでいるのではないか、その原因を調べてほしいというのが調査依頼の主旨でした。
依頼を受けるに際して、これまでの状況や最近の様子などについてもっと詳しく話をお聞きしたのですが、長年探偵業に携わってきた者の勘として真っ先に不倫を疑うべきだと感じました。
カズコさんには話しませんでしたが、ご主人は仕事で若い女性と知り合う機会がかなり多くありますし、教習車の中で2人きりになることがあっても、だれも不自然と思わない環境にあるわけですから、不倫の可能性が高いと思われました。
また、以前と比べて口数が減ったり(人によっては口数が増えることもあります)、帰りが遅くなったり、何かを隠しているような素振りを見せたりというところが、不倫をしている人の挙動に当てはまるのです。
そして、カズコさんにはマサシさんの行動を調べるために尾行調査をしてみることを提案しました。
不倫をしていることが判明・・
驚いたことに、マサシさんの尾行調査を始めて数日後には不倫の事実をつかむことができました。
自動車学校の帰りに車で相手を拾って、自宅からはかなり離れたところにあるラブホテルに行き、相手を駅まで送って自宅に帰るというパターンであることをつかみました。
だから帰宅時間が遅くなっていたのです。
ラブホテルへの入出の際の写真、それぞれの時刻を記録しておく必要があります。
また、証拠となる写真であるためには、マサシさんと相手の顔が識別できるような鮮明なものを撮る必要がありますし、相手女性の住所などを調べる必要があるため探偵助手を連れて尾行することにしました。
写真はばっちり撮れましたので、あとは相手の住所氏名などが必要になります。
不倫相手を駅で降ろすときにこちらも探偵助手を降ろして尾行させて、相手女性の住所氏名などを突き止めました。
その結果、相手女性は20代後半の独身で、しばらく前にマサシさんの自動車学校に通って免許を取ったということも分かりました。
やはり、自動車学校の教官と生徒という関係から不倫に発展したものと思われました。
カズコさんに説明をすると・・
夫が不倫をしていることなど全く疑っていらっしゃらない奥様に、その事実をお伝えするのはかなり心苦しいものがありましたが、調査依頼を受けて判明した事実をお伝えしないわけにはいきません。
カズコさんは、唇をかみしめながら話を聞いておられましたが、子供のためにも離婚はしたくないし、なんとかマサシさんに不倫を止めさせて以前のような優しい家庭思いの夫に戻ってほしいという気持ちを持っているということでした。
探偵というと、調査対象者が隠していることを探って見つけた事実を依頼者に伝えて慰謝料請求や裁判などに必要な報告書をつくる仕事だと思われているところがあるようですが、私は依頼者がどうしたら幸せになるのか、依頼者の真の目的は何なのかを常に考えたいという立場なので、カズコさんの話はよく分かりました。
夫に裏切られたという事実はあるものの、離婚ということになると一番被害を受けるのは子供たちだと考えたわけです。
そして、なんとか不倫を止めさせて以前のような夫に戻すにはどうすればいいのかという相談を受けました。
私は、探偵調査だけにとどまらずカウンセリングもやっていますので、その立場からお二人できちんと話し合うべきだとお伝えしました。
そして、奥様には次のような自分の気持ちを正直にお伝えするべきだとお話ししました。
- 子供たちのために離婚は考えていないこと
- 自分は不倫を疑ったことはなく何か問題を抱えて悩んでいると思っていたこと
- 探偵に頼んで初めて不倫の事実を知りショックを受けたこと
- 今の方とは二度と会わないでほしいこと
- 二度と不倫や浮気しないでほしいこと
その後どうなったのか・・
カズコさんとマサシさんがその後どうなったのかについて、しばらくしてからカズコさんから連絡がありました。
二人でじっくりと話し合って、二人のため子供たちのためにやり直すことを決めて、今では元通りの関係に戻ることができたというお話でした。
マサシさんは強く責任を感じていて、自動車学校の教官をやめて他の仕事に変われるように資格取得のための勉強を始めたというお話でした。
不倫相手のことについては、こちらからもお聞きしませんでしたしカズコさんからも話がありませんでしたが、完全に関係がなくなったということだと思います。
不倫問題の終わり方はケースバイケースでいろいろな結末があるのですが、この場合は奥様がしっかりとした考えをお持ちで、ご主人も二度とそのようなことにならないように転職まで考えておられるということで、ホッとしたという意味で記憶に残っているケースです。
今回お話をお聞きしたのは・・
今回お話をお聞きしたベテラン探偵は、京都の探偵事務所SAT、代表取締役社長の野村さんです。
長年探偵の仕事をしている方で、浮気調査や人探し、信用調査・与信調査・デューデリジェンス関連調査などの企業調査、経営コンサルティングなどに携わっておられます。
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